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生成AIに個人情報を入力する危険性とは?漏洩事例と対策を解説

生成AIリスク

この記事のポイント

生成AIに個人情報を入力すると、学習データへの利用や不正アクセスによる漏洩、個人情報保護法上の第三者提供・越境移転規制に抵触するリスクがある。対策には入力禁止情報の明確化、学習停止設定や法人向けプランの利用、匿名化、社内教育の徹底が有効である。

生成AIに個人情報を入力する危険性とは?漏洩事例と対策を解説

「生成AIに個人情報を入力しても大丈夫なのだろうか」「便利だから使いたいが、情報漏洩や法律違反が心配だ」。そうした疑問をお持ちではないでしょうか。

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 生成AIに個人情報を入力すると起きるリスク
  • 実際に起きた個人情報漏洩の事例
  • 安全に活用するための具体的な対策

結論として、生成AIに氏名や住所などの個人情報を安易に入力することは避けるべきです。

正しい知識を身につければ、生成AIの利便性を損なうことなく個人情報を安全に取り扱えます。本記事を読み進め、自社に合った対策を確認しましょう。

生成AIに個人情報を入力すると起きるリスク

生成AIに個人情報を入力すると、情報漏洩や法令違反につながる複数のリスクが生じます。これは生成AIリスクの全体像と対策を策定するうえでも重要な論点となります。氏名や住所、電話番号、メールアドレス、クレジットカード情報、マイナンバーといった個人を特定できる情報は、サービス側の設定や運用次第で第三者に渡ってしまう可能性があるためです。以下では、代表的な4つのリスクを具体的に確認します。

個人情報が学習データとして利用されるリスク

多くの生成AIサービスは、入力されたプロンプトをモデルの改善や学習に利用する場合があります。入力した個人情報がそのまま学習データに取り込まれると、別のユーザーへの回答の中に断片的な形で現れてしまう恐れがあります。これは、企業が考慮すべきAI倫理とは何かという議論においても強く懸念されるポイントです。

無料版や個人向けプランでは、初期設定で学習利用がオンになっているケースが少なくありません。法人向けプランやAPI経由の利用では学習に使われない設定が標準になっていることが多いため、契約プランの確認が欠かせません。

不正アクセスによって個人情報が漏洩するリスク

生成AIサービスの多くはクラウド上で運用されており、外部からの不正アクセスやシステムの不具合によって、意図せず個人情報が別のユーザーに表示されてしまう可能性があります。実際の発生事例は次の章で詳しく紹介しますが、これは他の生成AI問題点や活用上の注意点と同様に、事前の管理体制で軽減すべきものです。

こうした不具合は利用者側の対策だけでは防ぎきれません。サービス提供事業者のセキュリティ体制や過去の障害対応の実績を確認することが、リスク軽減の第一歩になります。

プロンプトインジェクションで情報が流出するリスク

プロンプトインジェクションとは、悪意のある指示文をAIに読み込ませ、本来出力すべきでない情報を引き出す攻撃手法です。プロンプトインジェクション攻撃の手法と対策が十分に講じられていないチャットボットや外部連携したAIサービスに細工された入力を送ることで、内部に保持された個人情報や機密情報が意図せず出力される危険があります。

この攻撃は利用者が気づかないうちに成立することもあるため、入力データの検証やアクセス権限の管理といった技術的対策が重要です。

AIの生成結果に個人情報が意図せず含まれるリスク

生成AIが出力する文章や要約の中に、学習データ由来の実在する人物の氏名や経歴が混じることがあります。これは、モデルが大量のテキストから統計的にパターンを学習する過程で、特定の個人に関する情報が断片的に記憶されてしまうために起こります。

生成物をそのまま社外に公開したり、顧客対応に使ったりする前には、個人情報や誤情報が含まれていないかを人の目で確認する運用が求められます。

生成AIで実際に起きた個人情報漏洩の事例

生成AIによる個人情報漏洩は、海外の大手企業から国内の一般企業まで、すでに複数の事例が報告されています。過去の事例を知ることで、自社が取るべき対策の具体的なイメージがつかめます。

学習データを通じて第三者に個人情報が表示された事例

ChatGPT Plusでは、システムの不具合により、一部のユーザーの氏名や登録メールアドレス、クレジットカード情報の下4桁といった情報が、別のユーザーのサブスクリプション管理画面に表示される事象が発生しました。この不具合は約10時間にわたって発生し、有料会員のおよそ1.2パーセントに影響したとされています。

原因はキャッシュ管理に関するプログラムの不具合であり、悪意ある攻撃によるものではなかったと報告されています。それでも、意図せず個人情報が第三者に渡る可能性を示す事例として注目されました。

不正アクセスでアカウント情報が流出した事例

セキュリティ企業の調査により、ダークウェブ上のフォーラムで2000万件を超えるOpenAIアカウントの認証情報が販売されていたことが判明しています。流出したアカウント情報を使って生成AIサービスに不正ログインされると、過去のやり取りに含まれる個人情報や業務情報が第三者に閲覧される恐れがあります。

パスワードの使い回しを避け、多要素認証を設定しておくことが、こうした流出被害の拡大を防ぐ有効な手段です。

従業員が誤って顧客の個人情報を入力した事例

韓国の大手電機メーカーでは、従業員が業務効率化のために生成AIへ社内情報を入力した結果、機密性の高いデータが外部のサービスに渡ってしまう事態が起きました。これを受けて同社は、社内ネットワークや会社支給端末での生成AI利用を制限する新たな方針を打ち出しています。

同様の事例は国内企業でも起こり得ます。悪意がなくても、業務効率化を目的とした軽い気持ちの入力が、重大な情報漏洩につながる点に注意が必要です。

生成AIに個人情報を入力する際の法的な注意点

生成AIへの個人情報の入力は、個人情報保護法との関係で複数の論点が生じます。法律上の位置づけを理解しておくことで、社内ルールを整備する際の判断基準が明確になります。

個人情報保護法における第三者提供への該当性

個人情報保護法では、本人の同意なく個人データを第三者に提供することが原則として禁止されています。生成AIサービスに個人データを含むプロンプトを入力する行為が、この第三者提供に該当するかどうかは論点になりやすいポイントです。一方、著作物の商用利用時などにおける生成AI著作権に関する侵害リスクとは法的な整理が異なるため、この違いもあわせて認識しておく必要があります。

入力した情報が出力結果の生成のみに使われ、事業者側で保存や学習に利用しないことが契約や技術的な仕組みで担保されている場合には、第三者提供に該当しないと整理される可能性があります。この点は生成AIサービスごとの利用規約やデータ処理契約の内容次第で結論が変わるため、個別の確認が欠かせません。

生成AI事業者への委託に該当するかどうか

自社の業務の一部として生成AIを利用し、その処理を外部の生成AI事業者に任せる形になっている場合は、個人データの取扱いを委託したと評価されることがあります。委託に該当する場合、委託元の企業には委託先に対する適切な監督義務が課されます。

具体的には、委託先の安全管理体制を事前に確認し、契約書に個人データの取扱いに関する条項を盛り込むといった対応が求められます。委託先まかせにせず、自社で継続的に管理する姿勢が重要です。

越境移転規制との関係

個人情報保護法では、個人データを外国にある第三者へ提供する場合に、国内での提供よりも厳しい規制が課されています。主要な生成AIサービスの多くは米国など海外の事業者が運営しているため、個人データの入力が越境移転規制の対象になる可能性があります。

越境移転規制への対応としては、本人からの同意取得や、移転先の国が定める体制が日本と同等の水準にあることの確認などの方法があります。自社が利用する生成AIサービスの運営主体がどこの国の事業者かを事前に把握しておくことが対応の出発点です。

生成AIに個人情報を入力しないための対策

生成AIのリスクを理解したうえで、実際に情報漏洩を防ぐための具体的な対策を講じることが重要です。ここでは、企業がすぐに取り組める4つの対策を紹介します。

入力禁止の個人情報を社内ガイドラインで明確にする

対策の第一歩は、生成AIに入力してはいけない情報を具体的にリストアップし、全従業員へ周知することです。氏名や住所、電話番号、メールアドレスといった個人情報に加えて、給与データや取引先情報などの機密情報も対象に含める必要があります。

分類入力禁止の情報例
個人情報氏名、住所、電話番号、メールアドレス、マイナンバー
認証情報パスワード、社内システムのアクセストークン
機密情報未公開の財務データ、人事情報、取引先の契約内容

ガイドラインは作成するだけでなく、定期的な研修を通じて従業員の理解を深めることが定着への近道です。

個人情報を学習しない設定や法人向けプランを選ぶ

ChatGPTやGeminiなどの主要な生成AIサービスには、入力データをモデルの学習に利用しない設定が用意されています。ChatGPTでは設定画面のデータコントロールから学習利用をオフにでき、Geminiでは自身のGoogleアカウントのアクティビティ管理から同様の設定が行えます。

法人向けプランやAPI経由の利用では、初期設定から学習利用がオフになっている場合が一般的です。個人アカウントでの無料利用を避け、組織として管理された法人プランへ移行することが、設定漏れを防ぐ確実な方法です。

氏名や社名を匿名化・マスキングしてから入力する

どうしても個人情報に関連する内容を扱いたい場合は、氏名を「A様」、社名を「X社」のように置き換えてから入力する方法が有効です。固有名詞を伏せても、文章の要約や添削といった生成AIの多くの用途は問題なく成立します。

マスキングを徹底すれば、万が一情報が外部に漏れても、特定の個人や企業と結びつく可能性を大幅に下げられます。

従業員向けの教育や研修を継続的に実施する

社内ルールや設定を整えても、従業員一人ひとりの理解が伴わなければリスクは残ります。生成AIの利用を許可する範囲や入力禁止情報について、定期的な研修や事例共有を通じて周知することが欠かせません。

新入社員の入社時や生成AIサービスの導入時など、節目ごとに教育の機会を設けることで、組織全体のリテラシーを底上げできます。

まとめ:生成AIには個人情報を入力せず設定とルールで安全に活用する

本記事では、生成AIに個人情報を入力すると起きるリスク、実際に起きた漏洩事例、個人情報保護法上の注意点、そして安全に活用するための対策を解説しました。生成AIは業務を大きく効率化する一方で、個人情報の取り扱いを誤ると情報漏洩や法令違反につながる可能性があります。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 氏名や住所などの個人情報は生成AIに安易に入力しない
  • 学習を停止する設定や法人向けプランへの移行が有効な対策になる
  • 社内ガイドラインの整備と継続的な教育で組織全体のリスクを下げる

本記事を読んだことで、生成AIに個人情報を入力する際の具体的なリスクと、今すぐ取り組める対策が明確になったのではないでしょうか。正しい知識と運用ルールがあれば、個人情報を守りながら生成AIの利便性を最大限に活かせます。

自社に合った生成AI活用の進め方について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

生成AIと個人情報に関するよくある質問

参考文献

  1. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
  2. 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」
  3. OpenAI Help Center「Data Controls FAQ」

執筆者

AX With 編集部
AX With 編集部

編集部

生成AIエージェント開発および自律型AI実装の発注先選定を支援するBtoB専門メディア。中立かつ客観的な比較・選定データを発信。企業のAIトランスフォーメーション(AX)を加速させ、最適なパートナー選びを実務直結の視点でサポートします。

監修者

AX With リサーチチーム
AX With リサーチチーム

リサーチチーム

AIエージェント開発や自律型AI実装に関する市場調査・企業選定基準の策定を行う専門調査部門。公平な第三者視点に基づき、各企業の技術検証、実装実績、プロジェクトの成果指標などを多角的に分析し、メディア監修を通じて実務に直結する客観的なデータ・情報を提供しています。

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